IDYFとは?

 

   世界の人口は70億人を超え、多くの国が貧困から脱却し、発展を謳歌しています。しかし、実際には一部の層に富が蓄積される傾向が継続し、貧困の罠から脱却できずにいる最貧層は依然存在しています。

   そのような状況下で、日本に限らず世界中の多くの若者が国際開発という分野に興味を持ち、将来のキャリアとして検討しています。途上国、先進国それぞれの国で、自らの国や世界の開発課題に共通の関心を持ち、国際開発という道を選ぼうとしています。

    しかし、国際開発を志すユースの交流の機会は限られています。国際開発に関心のある学生が結びつき、各国の状況を踏まえて互いの価値観を知り、意見をぶつけ合い、よりよい社会を目指して1つの成果を創り上げる。そうした経験を通じ、将来も続く関係を構築できる場として、国際開発ユースフォーラムは2012年に設立されました。20173月の開催にて5年目を迎えます。

理念と目標

 団体理念

     この理念には、先進国・途上国から集まった若者たちが、その多様な価値観や経験を結集して、よりよい未来を共に作り上げるという思いが込められています。未来を生きる若者たち自身が、多様な価値観を理解しあいながら世界の課題を共通の課題として認識し、一丸となって開発課題への解決策を模索することで、よき未来を創発する力を手にすることを目指します。

目標

1.国際開発に関心があるユースの継続的なネットワーク構築

  • 世界中から国際開発に関心を有するユースを集め、将来にわたって活用できるネットワークを構築します。
  • プログラムに創意工夫を凝らし、参加者同士の横のつながりを強固なものとします 。
  • アラムナイ・ネットワークの維持・発展等により、参加者同士の年度を越えた、縦のつながりを強化します。

2.多様な価値観と深い知見に触れる機会の提供

  • 専門家の方々の協力のもとに テーマに沿ったインプットを行い、参加者が知識や考えを広げる機会を提供します。
  • 多様なバックグラウンドをもつ参加者が 議論を通して異なる考え方を知り、自らの価値観を深める機会を作ります。

3.社会に新たな変化をもたらす成果の創出

  • 単に集まり議論するだけではなく、議論の成果が社会にとって価値あるものとなるよう努めます。
  • 国際開発に関心のある人々にとって、自らが生み出した成果が社会に変化を与える経験の第一歩となるよう、その機会を提供します。

共同代表 挨拶


   2015925日、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択され、「持続可能な開発目標(SDGs」が設定されました。私達は、次の時代を担っていく社会の一員として、SDGsを達成する手段を考え行動に移すこと、そしてそのさらに先のゴールを設定していくことが求められています。また、このSDGsでは、あらゆる開発段階にある国々の取り組みが求められ、異なるステークホルダーが連携することの重要性が強調されています。だからこそ、異なる立場や境遇にいる若者達が一同に会し、各々が持つ課題意識を共有し、共に未来へ向かっていく必要があるのではないでしょうか。

 

    今年5周年を迎えるIDYFは、「多様な価値観や経験を結集し、より良い未来を共に創り上げる」という、時代の要請に応える機会を提供することを目指しています。その想いを実現するためには、以下の2点が重要だと考えています。

 

     1.互いが抱える課題に関心を持ち、当事者意識を持って考えること

     2.価値観の相違を乗り越えて多様な人と協働すること

    

    まず、IDYFは、参加者一人ひとりの経験や関心を持っていること、またそれらに対する各々の意見を共有する場となることを目指しています。ニュースや文献から得られる情報だけでなく、世界から集まった仲間から直接話を聞くことによって、個々が国際問題に対してより強い課題意識を持つきっかけとなります。そして、IDYFでは、参加者が互いの文化、考え方をただ認識するだけにとどまらない関係を目指したいと考えています。多様な意見をふまえながら解決策を導き出す過程を経てこそ、価値観の相違に至る背景にまで理解を深め、協働する力を養うことができるのです。様々な専門、経験、価値観を持った世界中の若者が集まり、共に解決策を模索するIDYFのプログラムならば、国際課題に対する関心を深め、そして仲間と価値観を本気でぶつけ合う場を提供できると信じています。

    

    2012年の創設以来、毎年変化を続けるIDYFは一度として成長を止めておりません。これまでのIDYFがそうであったように、IDYF2017を彩ってゆくのは、参加者をはじめ、様々なかたちでIDYFに関わってくださる皆さまに他なりません。私たちは、この会議が皆さまにとって最高の学びの機会となるように最善を尽くしてゆきます。熱意に満ちた学生の皆さんをお持ちしております!  

        

 IDYF2017 共同代表    

斉藤美沙季 田原早耶香

顧問 挨拶


    日本の若者が「内向き」になったと言われるようになって久しい。日本国内にも数多くの課題が山積していることを思うと、ある程度は仕方ないことではあるけれども、他方で、世界にはまだ一人一日100円未満の所得水準で暮らす絶対貧困人口が約13億人(日本の総人口の10倍)おり、インドの幼児(5歳未満)死亡率(6%)は日本のそれ(0.3%)の20倍である。IDYFを立ち上げた諸君のように、世界の問題に直接関わりを持つキャリアを目指す若者が、それでも少なからずいることは心強い限りである。

IDYFは今年で5年目の比較的若い団体だが、参加者のネットワークは着実に積み上げられているようだ。今年度の企画では、「Developmentとは何か」を根本から考え直し、各々が描く社会の理想を語り合いぶつけ合うことを中心課題として設定していると聞いている。とりわけ海外参加者にとっては、日本人と日本社会に直接触れ、さらに日本の若者たちと密度の濃い議論の場を持つことは、彼らが将来的どのようなキャリアを志向するにせよ、大きなインパクトを持つであろう。

         この文章を目にしている皆さんは、国際開発に多少なりとも関心を持っている人かもしれない。国際開発に関わるキャリアは途轍もなくやり甲斐があるものだ。好きで選んだ仕事は何十年やっても全く飽きないし、辛い時でもいくらでも頑張れる。しかし同時に、様々なしがらみもできてくる。途上国の様々な立場の人々(政策担当者、研究者、田舎のお百姓さんや日雇い農業労働者まで)と会話をする機会が頻繁にあるが、一度プロになると、そこでの人付き合いは特定の社会的文脈(援助や政策助言を「与える側」、研究成果を競うライバル、研究に必要なデータを収集する側、等)に縛られ、相手からもそういう目で見られがちになる。そのような自分の立場を離れて自由に交流をすることは、必ずしも容易ではない。

 

しかしながら、国内外を問わず、学生の時からの付き合いの友人は別だ。初めて出会った時のように、社会的立場のしがらみから自由に付き合える。この文章を目にしている人の中には、大学生も少なくないかもしれない。学問の世界は日進月歩である。例えば、開発経済学における過去10年程の間の分析手法の変化や実証的発見の蓄積の速さには目を見張るものがある。ということは、大学で最新の学問知識を身につけたとしても、卒業して10年も経つとその知識自体は時代遅れになってしまう可能性も十分ある。他方、大学時代に築いた人脈は、一生の財産として、その価値は増えることこそあれ減ることは決してない。

        

    今から約30年前になるが、私自身も大学生の時にゼミ合宿で夜通し議論をしたり、社会や社会との関わり方について昼間から酒を飲みながら語り合う友人たちと出会ったりすることができた。そこでの議論には、今思い出すと赤面するような、現実離れした「青臭い」ものも多々あったが、しかし、そのような青臭い時間を彼らと共有したことが、その後社会に出て様々な「現実」に直面した際にも一定の理想を追うことを諦めない、という姿勢を育んでくれたのではないか、と思っている。その友人たちは大学卒業後、民間企業、ジャーナリズム、役所、主婦、政治家、NGO、研究者など様々な方向に進んでいるが、30年経った今でも、昔ながらの社会的な柵のない付き合いが続く。そしてそのような交流は、自分の仕事にも、新鮮な刺激や反省の材料を与えてくれる。

 

そのような友人達が世界中の各地に散らばっているとすると、こんな魅力的なことはない。もし30年前にIDYFがあれば、私も真っ先に参加をしたことであろう。

 

東京大学公共政策大学院教授

不破信彦