IDYFとは?

 

   世界の人口は70億人を超え、多くの国が貧困から脱却し、発展を謳歌しています。しかし、実際には一部の層に富が蓄積される傾向が継続し、貧困の罠から脱却できずにいる最貧層は依然存在しています。

   そのような状況下で、日本に限らず世界中の多くの若者が国際開発という分野に興味を持ち、将来のキャリアとして検討しています。途上国、先進国それぞれの国で、自らの国や世界の開発課題に共通の関心を持ち、国際開発という道を選ぼうとしています。

    しかし、国際開発を志すユースの交流の機会は限られています。国際開発に関心のある学生が結びつき、各国の状況を踏まえて互いの価値観を知り、意見をぶつけ合い、よりよい社会を目指して1つの成果を創り上げる。そうした経験を通じ、将来も続く関係を構築できる場として、国際開発ユースフォーラムは2012年に設立されました。20183月の開催にて6年目を迎えます。

理念と目標

 団体理念

     この理念には、先進国・途上国から集まった若者たちが、その多様な価値観や経験を結集して、よりよい未来を共に作り上げるという思いが込められています。未来を生きる若者たち自身が、多様な価値観を理解しあいながら世界の課題を共通の課題として認識し、一丸となって開発課題への解決策を模索することで、よき未来を創発する力を手にすることを目指します。

目標

1.国際開発に関心があるユースの継続的なネットワーク構築

  • 世界中から国際開発に関心を有するユースを集め、将来にわたって活用できるネットワークを構築します。
  • プログラムに創意工夫を凝らし、参加者同士の横のつながりを強固なものとします 。
  • アラムナイ・ネットワークの維持・発展等により、参加者同士の年度を越えた、縦のつながりを強化します。

2.多様な価値観と深い知見に触れる機会の提供

  • 専門家の方々の協力のもとに テーマに沿ったインプットを行い、参加者が知識や考えを広げる機会を提供します。
  • 多様なバックグラウンドをもつ参加者が 議論を通して異なる考え方を知り、自らの価値観を深める機会を作ります。

3.社会に新たな変化をもたらす成果の創出

  • 単に集まり議論するだけではなく、議論の成果が社会にとって価値あるものとなるよう努めます。
  • 国際開発に関心のある人々にとって、自らが生み出した成果が社会に変化を与える経験の第一歩となるよう、その機会を提供します。

代表 挨拶


   私たちはテクノロジーの急速な進化による時代の変わり目に直面しています。次々と誕生し進化するテクノロジーは世界のあらゆる地域と人々の間に浸透し,私たちを取り巻く環境は大きく変化しつつあります。これまで注目されなかった途上地域が先進国発祥のビジネスの拠点となったり、当たり前に存在してきた職業や職種が消えつつあったりなど,今までは可能であった予測が困難になってきています。さらにテクノロジーがもたらした根本的な変化は人々に対して生き方を問い直すようを迫っています。このような状況においてその問いに対する答えを導き出すことの難しさ,さらに限られた一部の人間ではなく、あらゆる人々が答えを出すよう求められていることを考えると,関連する議論が広く一般に開かれることが不可欠であるほか、その議論は国内に留まらず、地球規模で有機的な繋がりを持って展開されることが必至となるでしょう。

   当然ながら、私たちは単に変化の影響を受けるだけの受動的な存在ではなく、世界に変化をもたらす主体でもあります。その変化は規模・性質共に多岐に渡り、社会の根本を揺るがすものから取るに足らないようなものまで、ポジティブなものもネガティブなものも見られます。また、最初は歓迎されていた変化が後に受け入れられなくなる事態もあります。ネガティブな変化の中には、地球温暖化に代表される環境問題、福島やそれ以前に起きた原発事故とそれに続く災害、国境を越えて広がるテロなどの組織的犯罪、民族の対立が招く国家の分裂などが挙げられます。

   こうした状況はしかし、私たちが起こしうるポジティブな変化によって改善することができると私は信じています。IDYFは”Design Our Future”を理念として掲げ,国際開発課題に対して世界中のユースが熱く議論します。多様な価値観に触れることで培われる広く深い価値観や会議後も続く参加者同士の強固なネットワークは,同世代において上記諸事象への注意喚起を促し、より大規模かつ頻繁な議論の呼び水になります。そしてそれこそが、次代に希求される真のグローバルリーダーを生み出し、私たちが望む未来の実現に寄与するはずです。

   団体発足6年目の2018年度において、この思いを参加者運営ともに共有し実現すべく,以下の2点に特に注力することをここに宣言したいと思います。

  1. 課題に対して、実行可能かつ有効な提案を創出すべく参加者同士が協働できる環境を整えること
  2. 本フォーラム後も継続的なネットワーク構築ができる機会を提供すること

   実行可能かつ課題に対して有効な提案を目指すことで,参加者が常に現実場面を想定しさらに様々なステークホルダーを考慮に入れた有効な提案ができると考えられます。その実現に向けて、妥協を許さない、しかし建設的で意義深い参加者同士の議論を促します。また,長期に渡る変化を可能にすべくフォーラム後も続くネットワーク構築を目指してフォーラム前後のイベントにも注力して参りたいと考えております。

   最初に掲げた私たちの理念”Design Our Future”は今年度に掲げる目標の収束点でもあります。この意味で、運営委員会における当該理念への理解と共感が特に重要です。IDYF2018運営委員会はあらゆる人々とともに将来を築きたいと願う同志にIDYFという舞台を提供することを心より望んでおります。”Design Our Future”の理念に共感し、日ごろより抱える熱望を表現したいと考える世界中のユースの皆様のご応募をお待ち申し上げます。  

 

IDYF 2018 代表

野村 梨世

 

顧問 挨拶


   日本の若者が「内向き」になったと言われるようになって久しい。日本国内にも数多くの課題が山積していることを思うと、ある程度は仕方ないことではあるけれども、他方で、世界にはまだ一人一日100円未満の所得水準で暮らす絶対貧困人口が約13億人(日本の総人口の10倍)おり、インドの幼児(5歳未満)死亡率(6%)は日本のそれ(0.3%)の20倍である。IDYFを立ち上げた諸君のように、世界の問題に直接関わりを持つキャリアを目指す若者が、それでも少なからずいることは心強い限りである。

IDYFは今年で6年目の比較的若い団体だが、参加者のネットワークは着実に積み上げられている。毎年一つの共通課題を設定し、世界中から集った若者たちが集中的な議論を戦わせる。とりわけ海外参加者にとっては、日本人と日本社会に直接触れ、さらに日本の若者たちと密度の濃い議論の場を持つことは、彼らが将来的どのようなキャリアを志向するにせよ、大きなインパクトを持つであろう。

 

         この文章を目にしている皆さんは、国際開発に多少なりとも関心を持っている人かもしれない。国際開発に関わるキャリアは途轍もなくやり甲斐があるものだ。好きで選んだ仕事は何十年やっても全く飽きないし、辛い時でもいくらでも頑張れる。しかし同時に、様々なしがらみもできてくる。途上国の様々な立場の人々(政策担当者、研究者、田舎のお百姓さんや日雇い農業労働者まで)と会話をする機会が頻繁にあるが、一度プロになると、そこでの人付き合いは特定の社会的文脈(援助や政策助言を「与える側」、研究成果を競うライバル、研究に必要なデータを収集する側、等)に縛られ、相手からもそういう目で見られがちになる。そのような自分の立場を離れて自由に交流をすることは、必ずしも容易ではない。

 

     しかしながら、国内外を問わず、学生の時からの付き合いの友人は別だ。初めて出会った時のように、社会的立場のしがらみから自由に付き合える。この文章を目にしている人の中には、大学生も少なくないかもしれない。学問の世界は日進月歩である。例えば、開発経済学における過去10年程の間の分析手法の変化や実証的発見の蓄積の速さには目を見張るものがある。ということは、大学で最新の学問知識を身につけたとしても、卒業して10年も経つとその知識自体は時代遅れになってしまう可能性も十分ある。他方、大学時代に築いた人脈は、一生の財産として、その価値は増えることこそあれ減ることは決してない。

        

    今から約30年前になるが、私自身も大学生の時にゼミ合宿で夜通し議論をしたり、社会や社会との関わり方について昼間から酒を飲みながら語り合う友人たちと出会ったりすることができた。そこでの議論には、今思い出すと赤面するような、現実離れした「青臭い」ものも多々あったが、しかし、そのような青臭い時間を彼らと共有したことが、その後社会に出て様々な「現実」に直面した際にも一定の理想を追うことを諦めない、という姿勢を育んでくれたのではないか、と思っている。その友人たちは大学卒業後、民間企業、ジャーナリズム、役所、主婦、政治家、NGO、研究者など様々な方向に進んでいるが、30年経った今でも、昔ながらの社会的な柵のない付き合いが続く。そしてそのような交流は、自分の仕事にも、新鮮な刺激や反省の材料を与えてくれる。

 

    そのような友人達が世界中の各地に散らばっているとすると、こんな魅力的なことはない。もし30年前にIDYFがあれば、私も真っ先に参加をしたことであろう。

 

東京大学公共政策大学院教授

不破信彦